
chococo☆STAR SERIES 01
願いは、信じる心から小さく輝き始める。
第1幕:星の塔

[p01]
星空のきれいな夜でした。
ハク島の丘のうえ、星の塔では、今夜も小さな明かりがともっています。
これは、にこっちが「うん」をさがしに旅立った夜と、同じ星空の下ではじまる、もうひとつのお話です。

[p02]
星の塔に住むのは、ロシェル。
ひつじのような、コアラのような、ふわふわピンクの毛並み。
ロシェルの仕事は、星のビーズを集めて、願いを届ける準備をすることです。

[p03]
塔の影には、ローサもいます。
「願いなんて、そう簡単に叶わないのに」
そう言いながら、ローサは誰よりも丁寧にビーズを磨くのでした。
集まったビーズは、夜空の星のように、かすかに光ります。
第2幕:小さな願い

[p04]
ある夜、ロシェルは見つけました。
丘のふもとの小さな家。窓のそばで、ひとりの子どもが空を見上げていました。
「星さま、お願い……」
子どもの声は、とても小さくて、震えていました。

[p05]
その願いは、まだ言葉になりません。
子どもは毎日、学校の門の前で立ち止まります。
「おはよう」って言いたいのに、声が出ないのです。
ひとりぼっちの気持ちが、胸の中で大きくなっていました。

[p06]
ロシェルはそっと、星のビーズをひとつ手に取りました。
「この子の願い、届けるるんっ」
でも、ビーズはいつものように光りません。
願いは、まだ本人の心の中で眠っているようでした。
第3幕:願いをつなぐ魔法

[p07]
ロシェルは塔の工房を開きました。
まず「ウィッシュアポンビーズ」。
願いを結ぶための、特別なビーズです。
小さな願いほど、大切に結ばなければいけません。

[p08]
次に「エンジェルオイル」。
ほんの少しの香りが、緊張した心をやわらげます。
「大丈夫。深呼吸、するるんっ」
ロシェルは、香りのしずくを子どもの夢の中へそっと届けました。

[p09]
そして「バスソーク」。
一日の疲れをほどく、星屑のお風呂の素。
がんばる前の日は、まず休むこと。
温かさが、明日への力をくれるからです。

[p10]
準備ができました。
ビーズに願いを結び、香りで心をほどき、温かさで力をためる。
あとは――
「最後の一歩は、その子自身のものるんっ」
ロシェルは静かに見守ることにしました。
第4幕:祈りのきらめき

[p11]
次の朝。
子どもは門の前で立ち止まりました。
胸の奥で、小さなビーズが光る気がしました。
深呼吸をひとつ。
温かい気持ちが、背中を押してくれました。

[p12]
「お……おはよう」
小さな声でした。
でも、相手の子はにっこり笑って、「おはよう!」と返してくれました。
その瞬間――

[p13]
星の塔で、ビーズがぱっと輝きました。
キラキラ、キラキラ。
ロシェルは知りました。
願いは、誰かが叶えてくれるものじゃない。
信じる心の中で、小さく輝き始めるものなんだって。

[p14]
「やったるんっ!」
ロシェルは飛び跳ねました。
塔の影では、ローサもうれしそうに――
いえ、知らん顔をして、ビーズを磨いていました。
でも、そのビーズはいつもより光っていたそうです。
第5幕:次の星へ

[p15]
今夜も星の塔に明かりがともります。
世界には、言葉にならない願いがたくさん眠っています。
ロシェルは、そのひとつひとつに耳を澄まします。
願いをつなぐのが、ロシェルの役目です。

[p16]
――そのころ、遠くの空に、紫の光が流れました。
幸せを運ぶ旅の光です。
でも、それはまた、別のお話。
つづく(第2話『ねむれぬ星たち』へ)
